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田原総一朗:中国といかに向き合うか 胡錦濤訪日の意味を考える

例によって「自慢テイスト」が鼻につくし、「ハァ?何言ってんの?」的なことも多いが、今回は、「福田全然使えん」という認識など納得することもあった。



◇田原総一朗 政財界「ここだけの話」
  中国といかに向き合うか 胡錦濤訪日の意味を考える

4月29日から4日間、中国へ行ってきた。

今回は、中国中央電視台という、NHKのような放送局で、日本人3人と中国人3人での討論会を行った。日本側は僕が司会を務め、中国側は中国中央電視台キャスターの白岩松(ハクガンショウ)氏が司会を務めた。彼は、中国13億人のうち7億人が彼のことを知っているという、中国のナンバーワンキャスターだ

日本からは、僕と、元外務省で、現在は外交評論家の岡本行夫さん、元外務省アジア大洋州局長で外務審議官も勤めた田中均さんが参加した。田中さんは、小泉純一郎元首相が北朝鮮へ行ったときのお膳立てを全部やった人物だ。中国側は白岩松氏のほかに、元駐日本中国大使を務めた徐敦信(ジョトンシン)氏、中国外交学院院長の呉建明(ゴケンミン)氏が出演した。

◆前代未聞の大討論会

これはまさに中国電子台始まって以来の、前代未聞の討論会となった

日本からみると、中国は共産主義で言論の自由がない国だと見える。僕もそれに近い認識を持っていた。だから、こういうことができるとは夢にも思っていなかった。ではなぜこのような討論会が中国側と実現したかというと、僕が言い出しだのではあるが、実現できたことの背景の一つにはオリンピックがあると思う。

(中略)

◆メディア不信と政治不信

そのような中でなぜ中国側が今回のような討論会を開くことを認めたのか。僕は、インターネットの存在が非常に大きくなり、政府の危機感が非常に高まっているという問題があると思う。

実は、世界各地で聖火ランナーが妨害を受けて満足に走ることができていないということは、中国の新聞やテレビはあまり伝えていない。しかし、中国のほとんどの国民はそれを知っている。なぜか。インターネットがあるからだ。

インターネットで中国のほとんどの国民は、世界で何が起き、中国のオリンピックについて世界がどう思い、世界でどのようなトラブルが起きているのか、全部知っている。

このことに、中国の政府が強い危機感を持った。中国の政府が言論やメディアの統制を厳しくすればするほど、国民は新聞やテレビメディアに対して不信感を持ってしまう。自分たちがインターネットで掴む情報と、新聞やテレビが送る情報が違いすぎると、それがメディア不信や政治不信につながる。

そこで、メディア不信をなくすためには、結局メディアで本当のことを伝えざるをえない。やるならば、日本でいうNHKのような存在である中国中央電子台でやるしかない。おそらくこういう決断をしたのではないかと思う。

もちろん、やるにあたって、中国のチーフディレクターやプロデューサーたちは、「チベットのことには触れてくれるな」「オリンピックのこともなるべく触れてくれるな」「ギョーザのことも触れてくれるな」あるいは、「軍事力の問題も触れてくれるな」、ということを言ってきた。

僕はそういうことを中国のチーフディレクターやプロデューサーが言ってくるのは、日本でもよくある中間管理職の自己防衛本能、保身だと捉えた。中国は共産党主義の国だから、上でオッケーしたということは相当覚悟しているということだ。だから結局チーフディレクターやプロデューサーの言葉には構わずに、向こう側がやってくれるなと言った、チベット問題、オリンピック問題、ギョーザ問題、それから軍事問題、全部やった

◆改めた感じた中国の“怖さ”

僕は、今回中国へ行って討論会をやって、「中国怖いぞ」と思った。

「怖いぞ」というのは、日本のいわゆる右派の人が、「中国は共産党一党独裁の国で、秘密が多くで怖い」と主張しているのとは違う意味だ。

共産党一党独裁の国であるならば、伸びられるのに限度があると思う。だからそれはむしろ怖いよりは安心できる。大したことはない。今回感じたのは、それとは逆の意味での怖さだ。

例えば、最初から戦略があったかどうかは分からないが、今になって思うと、中国がオリンピックを開催するということは非常に戦略的な出来事だと僕は思う。

オリンピック開催がなければ、チベット問題は出てこなかった。チベット問題は今に始まった問題ではない。1959年、毛沢東の時代に、「中国躍進」と言って、どんどんチベット全土に中国の支配力を広めようとした。それまではチベットに対してかなり自由で、まさに自治的な雰囲気があった。それを中国が社会主義的な管理をしようとした。そこで「チベット動乱」が起きて、多数の死者が出て、ダライ・ラマをはじめ、多くのチベット人が亡命をせざるをえなくなった。

それ以後、チベット問題を中国は抱えてきたのだ。それにも関わらず、アメリカもヨーロッパも問題にしなかった。これが問題になったのは、中国でオリンピックをやるということで問題になった。特に、今年の3月10日にチベットで僧侶たちがデモ行動を起こした。このデモを警察が取り押さえ、さらに市民たちが立ち上がり、まさに「チベット騒乱」になった。これが欧米の国々で「中国のチベット管理、チベット支配が強い、弾圧だ」という話になり、聖火ランナーが妨害されるということになった。

◆北京五輪にみる中国の世界戦略

オリンピックを開催しなければ、チベット問題は出てこなかった。オリンピックを開催しなければ、当然、聖火ランナーを世界で走らせる必要もないわけで、妨害事件も起きなかった。さらに言うと、オリンピックを開催することによって、中国が今まで隠してきたかった、内部の問題が全部世界へさらけ出されるようになった。

これは、今になって思うと中国の戦略ではないか。要するに、中国が国際社会で認められるための試練をあえて自らに課したのではないかと思う。中国が今まで隠してきた問題を世界にさらけ出し、世界の注目を浴びることで、中国は国際的な大国になろうとしているのではないか。だから、オリンピックも戦略的に開催したのだ。現に、今回の討論会をはじめ、中国の様々な人にインタビューする中でますますその思いが強まってきた。

この討論会で、チベット問題に触れたとき、中国側のパネリストの顔色が変わった。しかし、「チベット問題には触れないつもりだったが」と言いながら、チベット問題に対してがんがん意見を述べ始めた。中国側は「チベット国内問題です。チベットは今うまくいっているのです」と言うのに対し、日本側は「国内問題であろうとなかろうと、チベットの人たちに対する人権問題に対して外国は関心を持つ。それに対する思いを語る。これは良いことだ。チベット問題についてはやはり不透明な部分も多い。そこを正したいのだ」と主張した。このようなやりとりから、だんだんとチベット問題の核心に入っていく。それは中国側も拒むことはできない。

あるいは、中国は今、「日中友好」ということを盛んに言う。胡錦濤国家主席が5月6日に日本へやってきて、ここでも「日中友好」ということを言った。これに対して岡本行夫さんが「日中友好と言うならば、中国は本気になって考えて欲しい」と言った。

かつてヒラリー民主党大統領候補の夫である、クリントン元大統領が中国へ訪問したとき、江沢民国家主席(当時)と何度も会った。そのとき、中国側は中米友好の証として、それまでアメリカを向いていた中国の核ミサイルの銃口を外した。これは米中、あるいは、中米友好といえる。しかし、核ミサイルは今、日本を狙っていて、これを外していない。日中友好と言うならば外してから言ってくれ。外さないで言っていても、これはリアリティを感じない。このようなことを日本側は述べた。

(中略)


◆中国政府が自由な討論を認めた理由

僕の番組でこのやり取りを見た自民党、民主党の議員が何人も「こんなことは、今まで中国では絶対に聞けなかったことだ。聞いたらもうそれで終わりだった。これを田原さんが聞いて、ちゃんと答えている。中国も変わったな」と驚いていた

中国のこうした変化はやはりオリンピックがきっかけなのだろう。オリンピックで世界の人々を迎えなければならない。そこで相当の覚悟を決めた。その試練に今挑戦しているという気がしている。オリンピックをやることで中国は世界に通用する大国になろうとしているのだ。そうした中国の意識の変化を僕は「中国怖いぞ」と思ったわけだ

中国には何度も行っているが、今回のような自由な討論は初めてだった。中国は今世界一になろうとしている。そのエネルギー、気力のすさまじさを感じる。

(中略)

◆ポピュリズムが蔓延する危機的状況

そして日本へ帰国し、留守にしていた間の新聞を確認した。僕は日経、朝日、読売、毎日、産経新聞の5紙をとっている。だがこれらの新聞をあらためて読んでがっくりきた。政治について書いているが、それはまるで“小さなコップの中のポピュリズム”だと感じた。

暫定税率の期限切れで25円値下がりしていたガソリン代が再び暫定税率の復活で値上げになった、ガソリン代が上がったと大騒ぎしている。そのために福田政権の支持率が落ちた。こんなことばかり書いている。

別にガソリン代は下がっていたのではなく、民主党が審議に応じなかったために、期限切れになって、一時的に暫定税率がなくなっただけのことだ。1 リットルあたり25円の税金をなくすということを換算すると、2兆6000億円の減税になる。では2兆6000億の財源はどこにあるのかというと、どこにもない。後期高齢者医療制度の問題も同様だ。後期高齢者医療制度に変えなければどうなっていたのかということに新聞は全く触れていない。

何より問題なのは、福田内閣が何をしようとしているのか、全く分からないことだ民主党は反対ばかりで、暫定税率も廃止、後期高齢者医療制度も廃止を主張して、対案がない。それをは、まさに“コップの中のポピュリズム大会”であり、この国の政治は本当に危機的状況にあるのだと思う

このまま3年、4年経つと、中国やアメリカといった国々の中で、日本はみそっかすになる可能性がある。現に、日本から外国人投資家がどんどん離れていっている。日本の一人当たりのGDP(国民総生産)が93年には2位だったのが、今は18位になっている。OECD(経済協力開発機構)の労働生産性が加盟30ヵ国中19位だ。どんどん落ちていることに対する危機感が政治家にも、官僚にも、マスコミにもない。そのことに対する苛立ち、焦りを感じずにはいられない。

◆危機感のない日本の政治家たち

5月7日に日中会談が開かれたが、日本側は何もテーマを定めていなかった。福田さんは胡錦濤国家主席を招いて何をしようとしたのか。

この会談の前に中国側はダライ・ラマと会っている。もし会っていなければ日本は「会え」ということを言っただろう。ところが長野で聖火リレーをやる前に中国はダライ・ラマと会うと発表し、現に会っている。それ以上日本は言うことがない。

東シナ海の油田の問題も、現に今交渉が進んでいるわけだから、特に会談で詰める話題もなかった。

話をするとしたらサミットについてだった。昨年開かれたドイツのハイリゲンダムサミットで、安倍晋三前首相は非常に良い役割をした。「2050年までにCO2を半減しよう」という安倍さんの提言に世界が乗った。ところが当時日本では安倍さんは悪者で、その成果を日本の新聞は全く書かなかった

今年の洞爺湖サミットでは当然ながら2050年までの道筋を作らなければならない。例えば2020年までにCO2を何パーセント減らすとか、数値目標を日本は出すべきなのだ。しかし、福田首相は出していない。出さずに、「2050年までに減らしましょう」と、去年から分かっていたことを再確認しただけだ。

中国にとって触れられたくないことを日本は何も指摘していない。日本側は言うべきことを何も言っていないのだ

やはり、日本側に危機感がないのだ。危機感もなければ決意もない。「日中友好というのなら、ミサイルの標的から日本を外せ」くらいは言うべきなのだ

◆日中首脳会談の成果はパンダだけ?

日本の常任安保理事国入りについて中国側から言及があったことについても、中国が賛成してもアメリカが反対しているので現実味がない。こんなことは中国が高を括って言っているにすぎないのだ。

中国にとっての今回の会談のメリットは、日本が北京オリンピックを認めたということだろう。会談をしたということは、正式に日本の首脳が中国のオリンピックを認めたということになる。ヨーロッパ、アメリカでは異論があっても、日本は認めた。これが中国にとってのメリットといえるだろう。

福田さんはまだ開会式に出席するとは表明していないが、これも保留ではなく、言っていないだけだ。中国側も「出席しますか」という問いかけもしなかった。きわどい問題は全部避けている。

日中共同声明でうたわれた「戦略的互恵関係」も、中身がなく、具体性がない。本当に実現するのは、パンダが来ることだけだろう

ソース・nikkei BPnet
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/080508_58th/index.html




どうも、この老害の自慢話は好きになれないが、今回は珍しく納得させられる部分も多かったので取り上げさせてもらった。

ただ…

「中国が今まで隠してきた問題を世界にさらけ出し、世界の注目を浴びることで、中国は国際的な大国になろうとしているのではないか。だから、オリンピックも戦略的に開催したのだ。」

上記の分析は「いくらなんでも買いかぶり」なんじゃねぇの?という気がする。過去の言動を振り返ると、果たして中国共産党にそんなデカい度量というか、そんな大博打を打つつもりなんぞあるのかね?

そんなメンドクサイ目的ではなく、単純に世界に中国の躍進や中華民族の優秀性を大々的にアピールし、国威発揚と国際的な評価を高めようというストレートな思惑だったんじゃないのかと…



しかし…

日本の政界やマスコミに対する「小さなコップの中のポピュリズム大会」という批判や、今回の胡錦濤訪日が日本にとって全然重要な意味がないという分析は、まさしくそのとおりだと思う。


中国政府から大先生扱いを受けて、中国に甘い傾向の強い田原総一朗からも辛口のジャッジをされてしまう、媚中派の福田首相というのはいったい何だろうかと…結局、とことん使えないんだよね。



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中国 | 【2008-05-09(Fri) 18:56:17】
Trackback:(0) | Comments:(2)
コメント
管理人さん、お人が良すぎる。30年近く彼を見てきましたが驚異的な厚顔と恥知らず、今流行のKY、日本人の苦手とする大声でおしまくる能力で世渡りに成功してきただけです。時の趨勢と権力に常におもねって生き延びてきた。今回の言動も世間の空気が変わってきたことに敏感に反応しているだけとみます。今心しなければいけないのは変節にすぎないものを容認しないと言う厳しさを持つことだと思います。寛容さと恨み等のマイナス感情を持続させない日本人の長所は同じレベルの相手にしか通じないということを肝に銘じるべきだと思います。生意気なことを言ってごめんなさい。
2008-05-09 金 20:28:25 | URL | ふ〜 #aQ0RUKxs [ 編集]

ふ〜さんご指摘ありがとうございます!

このエントリーは書きながら自分自身チョット違和感があったのは事実です。
例えば、田原氏は「小さなコップの中のポピュリズム大会」と批判してますが、彼自身もそれを煽りまくってきたクセにという不信感とか…

>今心しなければいけないのは変節にすぎないものを容認しないと言う厳しさを持つことだと思います。

ご指摘そのとおりですね。心にとどめておきます。
2008-05-10 土 07:15:53 | URL | ひろゆき #- [ 編集]
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